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 (194)コマーシャリズムの中の伝統文化

コマーシャリズムの中の伝統文化


 暦がひと還りもするほど生きていても知らないことは多い。太陽暦では1年に6時間のズレが生じるので、うるう年に1日追加すれば調整完了かと思っていたが、どうもそうではないらしい。4年に1回1日(24時間)を追加すると、実際の季節との関係では4年分で約45分多すぎるという。だから実際の季節をもとに決まる節分が、ある年には「太陽暦が先行しちゃった結果」として「太陽暦に追い抜かれる」のだとか。これが今年124年ぶりに節分を2月2日にした要因だという。
 そんな2月2日に横浜市内のある施設でいただいた昼食には太巻きと白い汁ものが出た。私はなんだかわけもわからずに食したが、ひとに聞くと、「恵方巻」と「呉汁」だという。大量廃棄で名高い恵方巻だが、今年は廃棄予防の予約化と巣ごもり需要の結果、売り切れが続出したとも聞く。そもそも、恵方巻は関西圏の風習であるからして、生粋の関東人(先祖は東北人)の私の子ども時代にはなかった。これをコンビニ業界だか食品業界だかの陰謀で全国的なイベント食品に仕立てたのはコマーシャリズムであろう。呉汁の方はそうしたコマーシャリズムとの関連は知らないが、九州や北陸の郷土料理という。
 2月にはバレンタインデーもある。聖バレンティヌスに由来するという、およそ日本の宗教的系譜とかけはなれたキリスト教の記念日だが、こちらは周知のように、チョコレート・メーカーの戦略と百貨店の策略らしい。この日にチョコを贈る風習が世界中で日本だけに流行しているところがなんとも笑えるが、「2匹目のどじょう」を狙ってホワイトデーを企画したのも日本だとか。なんとも商魂たくましい。
 伝統文化というのは、生き物みたいに形を変えながら継承されるし、そもそも伝統だって、その発祥の時点ではアバンギャルドなのであるからして、共感され、共有される文化には価値があるのであろう。それをコマーシャリズムのバカ騒ぎと受け止めるか、楽しい年中行事として実践するかは、個人の価値観の問題ともいえよう。
 旅は日本各地や世界各国・各地の文化にふれるものだ。早くコロナ禍を克服して、ステイホームの日常とは異なる文化にふれたい。衣食住すべてに影響を与えたコロナ禍の後の新しい文化も生まれているであろう。きっと旅のスタイルにも新しい様式がもたらされるであろう。その日まで生きながらえなくては。




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