ブータン王国の前国王陛下(第4代目国王)、ジグミ・シンゲ・ワンチュクが11月11日に60歳を迎えられます。2015年は1年を通じて第4代目国王陛下の還暦を祝福しています。
第4代目国王は父である第3代目国王が若くして亡くなったため、17歳で即位しました。 “GNP(国民総生産)よりもGNH(国民総幸福量)を大切に”という基本方針の下、先代が取り組んできた近代化、国際化政策を進めて、現在のブータン王国があります。
ところで、前国王が生存しているということ自体が一般的には珍しいことではないでしょうか? ブータンでも第3代目国王の時代までは現国王が死去した後に新国王が即位していました。しかし、第4代目国王の時代に国王の主導によって、国王自らの権力を減らしていき、
“絶対君主性”から“民主化”を進め、2008年に公布された憲法には国王自ら筆をとり、“国王は65歳で定年とする”と国王の定年制を定めました。そして、定年の65歳になっていないのですが、2008年に憲法が成立した時点で王位を退いてしまいました。
自分が退位し若い息子に国王を譲ることをもって時代の大きな変わり目ということを国民に伝えたのではないでしょうか。
ブータン国民に第4代目国王について聞くと、次々に国王の偉大さ、人間性を表すエピソードがでてきます。心の底から第4代目国王を信頼していると感じます。現在も第4代目国王の存在感は国民の心の中には大きくあるのですが、国王を退位している身として前面に出てくることなく、テレビやセレモニーなどで目にする機会も殆どありません。そして、お姿を見かけることはあっても、話している様子は本当に見ることができません。
そんなこともあり、今年1年は還暦のお祝いということで、第4代目国王の写真が国中に飾られ、いろいろなイベントも第4代目国王に捧げるという形で行われ、国中で盛り上がっています。誕生日の11月11日にはタシチョ・ゾン(王様のオフィス兼寺院)の中で王族などとのセレモニーをした後に、誕生日のお祝いの会を開催しているチャンリミタン・スタジアムで国民の前に姿を見せてくれるそうです。みな今から第4代目国王が何を話してくれるのかをとても楽しみにしているようです。