ブータンの首都ティンプーは日中ぽかぽかと暖かくなりました。ブータンのお正月ロサル(春節)の頃になると家の周りの空き地で畑仕事をする姿が目立つようになります。
ティンプーは近年田舎からの移住者も増え住宅も増えました。元々農地だった土地も売りに出され空地も多くなりました。空地には草が生え、秋にはコスモスが大群で咲いています。ブータン政府はこの空地の有効活用を考え、土地を新たに使うようになるまでは個人の空地でも畑をした人に無料で使わせるよう通達しました。
ティンプーに出てくるまで農業で自給自足に近い暮らしをしていた人も多いし、人口の集中により野菜の値段も高騰しているので、私の家の周りにもあっという間に畑が増えました。義理の母もトウガラシ、ジャガイモ、トウモロコシ、サヤエンドウ、グリーンピース、菜っ葉、キャベツ、コリアンダー、トマトなどを育てています。
日本で家庭菜園をしようと思うと道具や堆肥や苗や種を買いお金も掛かりますが、ブータンではお金が掛かりません。腐葉土は近くの裏山から取ってきます。堆肥は空地に放たれている牛や馬の糞を集め、料理をする時にでた野菜などの屑を腐らせます。苗を買ってくることは殆どなく、種も自分達が食べた野菜の種を乾かして次の時のために取っておきます。家畜や野犬がいるので、畑の周りに柵をしなければならないのですが、自分たちで建築の足場で使った竹などの廃材で作ってしまいます。
田舎で暮らしていた時に当たり前にしていたことをできることがみんなを生き生きとさせ、近所の人との交流にも役立っているように感じます。近代化が進みいろいろな問題もありますが、このような臨機応変な取り組みをできるブータン政府、それに柔軟に対応できるブータンの人を見ると彼らなりの解決方法があるように感じます。