ブータンの新年はロサ(ロサル)と呼ばれ、新暦ではなく、ブータン暦で迎えられます。中国などの旧正月に近いのですが、年によって少しタイミングが異なります。今年は2月12日でした。
ブータンの人々も日本と同じように、お正月は家族や親戚みんなで集まって過ごします。お正月の日にしたことは一年続くという言い伝えがあります。ブータンの人の多くは、仕事で成功したいという気持ちよりも、家族が大事で、家族で過ごすことを大切にしています。なので、お正月は伝統的なブータン料理や普段よりも少し贅沢なお肉料理を食べ、家族みんなでのんびり過ごします。喧嘩になりそうになっても、やめたりする姿も微笑ましいものです。
ブータンでは、昨年の12月終わりにコロナウィルスの市中感染が確認され、全土ロックダウンになっていたため、“今年のロサは家族みんなで和やかに過ごせないなんだろうな”と思っていました。
日本でも、今年のお正月は里帰りができない人が多かったですよね。私の知り合いでも、“初めてひとり正月だったよ”とか、“里帰りしないからおせちを作ってみた”など、いつもと違うお正月を過ごした人がたくさんいました。こんな状況だから仕方がないのでしょうが、何だか寂しい気持ちになりますよね。
結局、首都ティンプーでは40日以上のロックダウンが続きました。この対策が良いか悪いかは別として、ブータン政府の本気度は凄いなと感心します。1人でも市中感染が確認されると、まずはその地域がその日から封鎖されます。そして、他の地域にも広まっていることが確認されると、その日から全土ロックダウンになります。そして、ロックダウンを緩和する前には、各家庭から2人ずつPCRチェックをし、陽性者の有無をチェックします。それを2度して、新規陽性者がでなかったら、徐々にロックダウンは緩和されます。今回ロサの前にはロックダウンが解除されました。
結果論ですが、ブータン人が大事にしているロサには、家族みんなで安心して集まれる状況になったのです。この1年はどのようになるかはわかりません。でも、国民がみなひとつになって頑張れば乗り越えられるという思いで新年を迎えることができたのです。
ブータン政府のこのような方針から考えると、外国からのお客様を迎えられる日はまだ遠いのでしょう。一日でも早く安心して旅していただけるようになりますように!