東日本大震災から13年目を迎える今月、能登半島地震から早くも2カ月が経過した。お正月早々、ほんとうにびっくりした災厄(さいやく)だった。いまなお4,500人が避難生活を強いられているほか、劣悪な避難所を避けて傾いた自宅で生活する被災者、倉庫やビニールハウスでの生活も続いている。断水も復旧には今月いっぱいかかるという。「人が少ないから見捨てても良いのか」と言いたくなる。
今から7年前になるが、お客様と能登半島を旅した。輪島では輪島塗の工房長屋<現在休業中>や祭りの華「キリコ」を展示するキリコ会館<現在休業中>を見物し、輪島温泉を名乗る宿<現在休業中>に泊まって、朝市をぶらぶら歩いた<現在は焼け跡>。
さらに半島を東に進み、国指定文化財名勝の白米千枚田<地震で田んぼに亀裂が走り、皮肉にも夜間のライトアップは全く人がいないので幻想的に美しいという>や曽々木海岸にある窓岩<地震で崩落して窓状ではない>、すず塩田村<地震で海底が隆起して海岸が100メートルも離れたため製塩のための海水の取水が困難に>、国重要文化財の上時国家(かみときくにけ)<地震で1階部分がつぶれ茅葺屋根が地面に接している>などの名所を訪ねた。
半島の南側では「軍艦島」とも呼ばれる見附島<地震で半分が崩壊>、銘酒「大江山」の松波酒造<地震で倒壊>、ボラ待ちやぐら<地震に耐えて残った>などを観光して和倉温泉に泊まった<現在休業中>。
好天に恵まれ、観光客も多すぎず、のんびりとめぐった印象が残る。旅行業従事者にできる支援は限られているが、復興後にはオーバー・ツーリズム(人がいっぱいの観光地)の対極ともいえるのんびり過ごせる能登の旅を大切にしたい。