日本の各地でも秋にはたくさんのお祭りがありますが、ブータンでも秋には各地でお祭りがたくさん開催されます。
チベット仏教の国では、仏教の祖・ブッダと同様に大事にされているのは、チベット仏教の祖ともいうべきグル・リンポチェ(パドマサンババ)です。
ツェチュは月の「10日」の意味。グル・リンポチェの生涯に関する12の重要な出来事はいずれも月の10日に起こったと言われており、それらの出来事を称えるための法要が「ツェチュ祭」です。
ツェチュ祭では「チャム」と呼ばれる舞踊が披露されます。僧侶達が華やかな衣装を身に付け、仏教に対する悪霊を鎮めるために舞います。この舞は仏法や教訓話を一般民衆にわかりやすい形で表現した劇でもあります。見るだけで功徳を積むことができると言われています。
どの月に開催されるかは都市によって異なりますが、各都市にあるゾン(以前は城塞、現在は県庁兼寺院)で一年に一度2~5日間、開催されます。春先にもありますが、雨季が終わり乾季に入った秋が一番多いです。ブータン暦の10日のため、西暦では年によって日は変わるのですが、ブータンの首都・ティンプーでも9月頃に開催されます。
お祭りの見どころはもちろん華やかで宗教的に重要な舞踊でもありますが、お祭りを見学に来る人達でもあります。ブータンでは今でも民族衣装を日常的に着ています。(男性の民族衣装は「ゴ」、女性のは「キラ」と呼ばれます。)ツェチュ祭は一年に一度の最大の出会いの場でもあり、みな、特に若い女性はこのお祭りのために豪華な民族衣装を仕立てます。特にティンプーは他の都市に比べると新しい感覚を取り入れた模様の民族衣装を着る人が多いですし、会場のゾンの中は民族衣装のファッションショーのようで壮観です。豪華なものは地も模様もシルクの織物で一年掛かりで織られているものもあります。色遣いも見事で派手な原色を何色も使っていても調和が取れているのに見惚れてしまいます。そして家族みんなでお弁当を持って、お茶を飲みながら、お祭りを見学している姿がほのぼのとしてとても楽しそうです。みなさまも是非一度ブータンのお祭り・ツェチュ祭をの様子を楽しんでみてください。