春の旬の野菜というと、山菜、たけのこなどありますが、アスパラガスも春の野菜ですよね。ブータンの国際空港があるパロという村の郊外ではアスパラガスが実ります。3月中旬ぐらいになると道端でアスパラガスを売っている農家の人を見かけるようになります。そして1~2週間遅れて首都のティンプーの野菜市場でも見かけるようになります。日本では旬の時期でなくても買えますが、アスパラガスはインドからの輸入はないためか、春から初夏にしか手に入りません。実はブータンでアスパラガスを食べることができるのは、ある日本人の指導の賜物なのです。
1964年に農業指導の専門家として国際協力機構(JICA)から西岡京治氏(故人)が派遣されました。西岡氏がブータンに渡って農業指導を始めた頃は、ブータンの人々に彼の指導方法が受け入れられず、日本人に何ができるかと反発も買ったそうです。しかし自分自身で実際に農作業を行い、収穫量の増収という成果を示し、徐々に人々の評価を勝ち得たそうです。そして西岡氏がブータンで亡くなるまでの28年間の無私の貢献がブータンの農業を育て、ブータン人の食卓を豊かにしたのです。
西岡氏はパロのボンディという所にある実験農場を拠点に、日本米品種の導入・普及や換金作物であるリンゴ・アスパラガス等の栽培指導を行いました。また種苗センターも整備し、無料で苗を提供することによって、ブータンには今までなかった種類の野菜、ニンジン、キャベツ、カリフラワー、ナスなどを広めたのです。彼の貢献により、ブータンでは日本に対して好印象を持ってくれています。
そんな経緯もあり、先月の東北地方太平洋沖地震で被災した人のために、王様による法要を初め、ブータンの各地でも毎日のように法要が行われています。そして学生による募金活動も行われています。ブータンのみなも日本なら立ち直れると信じ、日本の復興を心より願っています。