【208】爛漫の春に

 満開の桜がはらはらと散り、センバツが終わって春爛漫だというのに、心がウキウキしないのは私だけではないでしょう。
 もちろん、コロナ禍で迎える3回目の春で、海外にも出かけられない、国内旅行にも行きにくいこのご時世です。けれどこの春はロシアのプーチン政権によるウクライナ侵攻の悲劇が暗い影を落としています。
 個人的にはウクライナに行ったことがありません。私が最もウクライナに近づいたのは、1994年11月にポーランド東部のナチスの強制収容所があったマイダネクです。ウクライナ国境まで30kmありません。マイダネクは世界遺産にも登録されているアウシュビッツ(ポーランドではオシフィエンチム)と並び称される大規模な「絶滅収容所」です。「絶滅収容所」とは一時的または恒久的に人を「収容」する施設ではありません。収容者(主にユダヤ人)を「絶滅」することを目的として建設され運営されていた施設です。
 今から考えれば、「そんな無茶苦茶なこと」が平然と行われていました。ナチスドイツがヨーロッパを席巻し、ナチスドイツとがっちりと肩を組んでいた大日本帝国は朝鮮を植民地にして、中国に軍事侵略していました。その反省から国連憲章が生まれ、日本国憲法が誕生しました。
 平和でなくては旅行はできません。コロナ禍が収まっても、戦争が収まらなければ旅行はできません。「戦争をやめよう」と声をあげ続けることが旅行を生業とする者の矜持ではないでしょうか。

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