【38】氷点下のウルムチ

 世界で海から最も離れている都市・シルクロードの町–ウルムチは“美しい牧場”と呼ばれています。人口250万人を超えているこの都市は現在ウイグル人(トルコ系アルタイ語系の言葉を話しイスラム教を信仰、イランーペルシャ系の顔立と黒い目と黄色皮膚・中国の少数民族の一つ)を含む13の民族が生活しています。100年ほど前は小さい町でしたが、現在では高いビルが沢山建てられ、中国の西北地方では改革発展一番の大都会になっています。

 町の周囲は天山山脈に囲まれ、冬になるとここは雪の世界になります。日中の平均気温はマイナス18度(1月23日現在)ですが、こんな寒い日が2月中旬まで続きます。町の人々は、みんな厚い服を着て真っ白な雪の中で寒さに不満を感じているように見えますが、実は、そうではありません。逆に、この冬のよさを楽しんでいるのです。町の南へ40km行ったと処、南山という山の中にスキー場があり、毎週の土日になるとここは冬の有楽園になります。大勢の人がここに来て雪だるまを造ったり、雪車(そり)に乗って滑ったり、スキーやったりして冬の自然を楽しんでいます。以前、ウルムチの冬は寒いと言って観光客が来ませんでしたが、現在では中国の南方から観光客も来るようになりました。彼らの故郷では雪が降らないので、わざわざ雪景色を見るために来ているそうです。

 気温は氷点下ですが、現地の人々の心は暖かい。ここまで来ると、ほかの地方と違った風景と人々の熱烈な親切さを深く感じると思います。町の一角にウイグル人が沢山集まっている国際大バザールがあり、ウルムチに来るお客さんは必ず立ち寄る観光地でもあります。イスラム風の大きな建物の前に立ち集まったいる物売りのおじいさんやおばあちゃんたちは、“ヤクシマシズ!”(お元気ですか!)と言って笑顔で歓迎してくれます。石炭の火で焼いた羊肉のケワープと焼きたてのナン(麦のパン)持ってきて食べさせてくれます。ケワープは一串3元(45円)、ナン一枚2元(30円)ですが塩味が入ってとても美味しいです。それに、スープがたっぷり入ったテュテュラ(小型の水餃子)を一丼を食べると体がすぐ暖まります。テュテュラは一丼7元(105円)。

 今年は例年より意外に寒い冬になっています、昨年12月24日にこの冬初めての雪が降って以来、今まで5~6回ぐらい大雪が降りましたが、気温もずっと下がり続けています。最低気温がマイナス25度を突破しています。

 毎回雪が降ると町の住民は全ての仕事を停止して“雪かき大作業”に参加しなければなりません。先ず、道路上の雪を掃除して車やバスの通路を開かなければなりません。これは降雪が止んでからすぐに行う作業で、市民全員がスコップやほうきを持って参加します。短い時間で沢山働く義務労働です。“雪かき大作業”中は、どの道路も自動車通行禁止と決められ、道路掃除が終わるまで待つことになります。この大作業には大体(現地時間午前8:00~11:00まで)三時間ぐらいかかります。他の都市では、なかなか見かけない面白い作業かも知りません。

 氷点下を経験しながら美味しいケワープを食べたい方、“雪かき大作業”を見たい方には、一度冬のウルムチというのは如何でしょうか。

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