【90】「空海ロード」を考える

東日本大震災から、1年3ヶ月、「鎮魂の年」である。
まだまだ多くの日本人の心の傷は癒えていない。
今は、日本を、そして自分の未来を、静かに、じっくり考えてみる時期なのかもしれない。

ここで、時空を越えてみたい。
今からちょうど遡ること1208年前の西暦804年、平安京遷都から10年後にあたる年、一人の若者が、中国福建省の赤岸鎮に上陸した。その名は、「空海」。日本人の誰もが知る真言宗の開祖、偉大な密教思想家である。
彼は、この地から、確固たる目的を持って、気の遠くなるような距離にあった当時の都長安(現、西安)を、目指した。
この「求法の道」を高野山大学の静慈圓教授が、「空海ロード」と命名し、現代中国における巡礼道にしてはどうかと提唱している。静教授は、空海入定1150年御遠忌の1984年にこの道2,400キロを実際にたどった。その様子は、素晴らしい風景写真と共に新潮社から、「空海の道」として出版されている。

今、日本には、いわゆる「思想家」と呼ばれる人が見当たらない。
遠い昔「お大師さん」の歩いた道を、「実際に追体験してみる」、これは一考に価するのではないか?と考える。ゆっくり、じっくり、まずは、歩いてみるのだ。何かが生まれるかもしれない。生まれないかもしれない。しかし、歩いてみるのである。
一般の方々に、ぜひこの企画提案をしてみたい、そう真面目に考えている。
思想家の卵は、どこで孵化するかわからない。

近い将来、この「追体験企画」が成功裡に終わった後を、空想してみる楽しみもある。
「ある日、偉大な思想家が、日本に忽然と現る!」というニュースが世界を駆け巡る。
「ねぇねぇ、きっと、あの企画に参加したからだよ!」そんな巷の声を聞きながら、そっと一人ほくそ笑む。そんな楽しい想像を、たまにはしてみたいのである。

空海ロードを考える

by Yonezawa

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