【93】長江

私の好きな漢詩があります。 たいへん有名な漢詩でご存知の方も多いと思います。

朝早く、朝焼け雲のたなびく白帝城に別れを告げて、
千里先の江陵まで、一日で行く。
両岸の猿の声が、絶え間なく続くうちに、
(私の乗った)小舟は、いくえにも重なる山々を過ぎていった。

これだけの文字の中に、長江の様子を見事にうたいあげる李白は、やはり天才だと思います。
さて、長江を船で下る機会がありました。数年前には、三峡下りで何度も行った長江でしたが、今回 久しぶりの訪問でした。
反対も多くあった建設でしたが、2009年に三峡ダムが完成しました。ダムが出来て初めて訪ねた長江でした。水位はすっかりあがり、白帝城は完全な島になり橋を渡って観光をしました。史跡が長江の水に消えていきました。長江の流れの速さも変わっていました。

治山治水は、国の要です。これだけ広い国土をもつ中国には、必要なダムだったのかもしれませんが、日本ならこの建設をしただろうかと考えました。経済効果を莫大だったかもしれませんが、人も自然もどれだけ犠牲をはらったのでしょうか。かつての三峡の風景がなくなってしまったという外国人のセンチメンタルな感情に過ぎないかもしれませんが、いろいろ考えた三峡くだりでした。
それにしても、李白ならこの風景をみて、どんな漢詩を詠むのでしょうか?

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