【36】初の国政選挙 ブータン

現在ブータンは国王による君主制ですが、本格的な議会制民主主義への移行の過程にあります。
初めての国政選挙が今年の12月から始まります。
2007年12月に上院にあたる国民評議会の選挙、2008年2月には下院にあたる国民議会の予備選挙、3月に下院の予備選挙によって選ばれた上位2政党による本選挙が実施される予定です。

現在「Druk Puensum Tsogpa(ドゥルク・プンスム・トグパ、DPT)」と「People’s Democratic Party(民主人民党、PDP)」と「Bhutan People’s United party(ブータン人民統一党、BPUP)」という名の3つの政党が公式に認められています。下院の選挙により勝利した政党から首相が選出され各大臣が任命されることになります。

この選挙の活動に従事しようとする公務員は9月30日までにその職を辞するようにとの通達があり、10人の大臣のうち7名が7月末に大臣を辞職し、現在大臣は3名だけの政治体制となっています。役所の多くの部署もボスがいない状態となっています。

また国民にとっても初めての国政選挙ですので、2007年4月と5月には選挙の練習も行われました。その日は急遽祝日となりお店なども夕方5時までは全てお休みとなりました。
ブータンでは借家住まいの場合にはその住所で住民票ができません。そのため近年首都に多く集まっているティンプー住民の大半が田舎に住民票があり、田舎に選挙に行かなければなりません。
そして行くと言っても国内には日光のいろは坂どころではないくねくねの車の道路があるのみで鉄道も飛行機もありません。さて本選挙の折には何日の祝日となることでしょう?

選挙の練習は4つの架空の政党、黄色政党、赤色政党、緑色政党、および青色政党から1つの政党を選び電子投票をするという方法で行われ、黄色政党が圧勝しました。
選挙の練習で黄色政党が圧勝したのは国王のシンボルカラーであるからと言われています。ちなみに2番目に強かったのはお坊さんのシンボルカラーの赤色政党でした。本選挙では各地の候補者の顔写真と名前を見ての投票ですので問題はないかと思います。

しかしそのことが象徴しているように、ブータン人の多くが現在の国王による君主制のままで良いと思っているともささやかれています。
実際にも首相よりも権力のある立場に国王とジェケンポと呼ばれるブータン宗教界の最高指導者がいることには変わりないので、この議会制民主主義への移行はこの国にどのような影響を与えるのでしょうか。
兎に角今はTVのニュースも新聞もその話題で盛り上がってはいますし、この政党の党員にならないかとのお誘いなども多いそうです。

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