土地によって異なるのですが、私の旦那の出身の東ブータンの習慣ではブータン暦(陰暦)のロサル(お正月)が終わると家族の一年の無病息災を祈るプジャ(法要)をします。
日付は決まっていないのですが、家族に厄年の人がいると特に早めにした方が良いとされています。プジャは地方によりやり方が異なるので僧侶は同じ村の出身の方にお願いします。
1日目は2~3名の僧侶でプジャのためのトルマ(お供え)を作ります。大麦粉に水とバターを混ぜてこねたもので土台となるいろいろな形を作ります。そして鮮やかな色に着色したバター、糸を巻きつけた竹、仏画などで飾り付けます。トルマにはいろいろな意味のものがあるのですが、厄などの邪悪なパワーを集めるために人間をかたどったものなども作ります。そして次の日から7名ぐらいの僧侶で法要します。我が家では朝8時頃~5時頃まで2日間続きます。
家族の人はというと、一日中仏間でお祈りしている訳ではありません。外で護摩を焚いたり、108個のバターランプ、仏壇に供えるツォク(お供えの食べ物)を用意したり、僧侶に朝、昼、晩と3回食事を振舞うためにバタバタと忙しくしています。
プジャのクライマックスには日本の「豆まき」のようなことをします。僧侶の祈祷により人間をかたどったトルマには厄が集められています。家族みんな仏間(その近辺)に集まり、小麦やトウモロコシや豆などを混ぜたものをお経に合わせトルマめがけて投げます。子供達もこの時ばかりは楽しそうに参加します。このトルマは最後に家の外に出します。トルマは大麦などでできているので野良犬が食べてしまいます。
そして最終日の夜には招待している訳ではありませんが親戚や近所の人がたくさん訪問してきます。我が家は毎年家族を含めると50人ぐらいは集まります。訪問客にはお茶、お酒、食事でおもてなしします。この法要の日が一年で一番大切で大変な日なので終わるとほっとします。この時期はみなお互いの家に訪問して忙しくなります。ブータンでは知り合いの家を気軽に訪問できる環境が残っています。大変なこともありますが、こういう習慣を大切にした方が安心と心豊かな生活が送れるのだろうと感じます。