実に4年ぶりの中国訪問を果たした。
帰国後、周囲から「中国、どうだった?」と必ず聞かれる。
中国といっても北京でも上海でもなく、山東省だけだ。日本人には「チンタオビール」と言えば馴染み深いであろう。チンタオ=青島から内陸へ。孔子のふるさと曲阜や中国五岳(五大名山)の第一位である泰山をめぐり、省都の済南までの4泊5日の旅。
まあ、たった5日で広大な中国を語るのは愚の骨頂かもしれないが、4年ぶりの中国の印象を記そう。
到着空港から一歩外へ出た途端にタバコ臭い。こんな風情はもう日本にも韓国にもない。朝夕の散歩では不衛生で騒々しいところは変わらない。ただ、都市部の町なかは小ぎれいだ。
一番の驚きは多数の湧水が美しい趵突泉という公園でのこと。済南随一の観光地であり、土曜日ともあって多数の観光客で賑わっている。清水の湧く池の周りには二重三重の人垣。外国人の姿はほとんどない。
これまでなら、押すな押すな、我れ先に前へ前へ、秩序や他人への配慮とは無関係な空間だった。それなのに、押されない。割り込む人もいない。どうした、なぜ来ない? それは中国どこでも見られるわけでもないかもしれない。たまたまかもしれない。しかし、私にはその驚きが4年ぶりの中国に見て取った「変化」だった。
そうした姿を中国語では「文明」と称する。まさに、中国の文明開花なのか。あるいはコロナを経て「蜜を避ける」ことが習慣化したのか。いずれにしても、嬉しいようで、なんだか中国らしくないような、そんな気分で中国を離れた。