南フランスのコート・ダジュールには、切り立った崖や岩山の上に作られた通称、「鷲の巣村」と呼ばれる小さな村が散在します。中世にさかのぼるこれらの村は、今も美しく保たれ、迷路のような細い路地に入るとまるでタイムスリップしたかの錯覚に陥ります。“エズ”が代表格として有名ですが、他にも魅力の詰まった可愛らしい村がたくさんあります。先月そんなエズ村に久し振りに行ってきたのでご紹介したいと思います。
エズ村はニースとモナコの間にあって、ニースから12キロ、モナコから8キロ、海から垂直に切り立つ崖の上の海抜420mの所に位置します。ニースからバスで30分(たった1.5ユーロ=200円位)で行くことが出来ます。ニースの港を抜け、海岸沿いの崖の上を真っ青な海を見ながら走ると、エズが見えてきます。でも「鷲の巣村」は敵から身を守るために高い丘に姿を隠すというのが本来の目的なので、外からはあまり建物が見えません。
村に着いて、村に入るトンネルの入り口風景から、もう中世の雰囲気満点でワクワクします。村の中には、たくさんのお土産屋さん、アートギャラリー、ホテル、レストランが並び、添乗員として来ていた15年前と比べると素朴な雰囲気は少し薄れましたが(現在この村に住む地元の人はほとんどいないそうです)、相変わらず入り組んだ細い小道はどこを歩いても絵になるかわいい村です。石畳の坂道の真ん中は舗装されていてすべりにくく、坂道にはてすりもついているので安心です。
両脇にあるお店をのぞきながら上にあるエズ植物園をめざしのんびり15分位歩きます。なぜ熱帯植物園のためにわざわざ?というと、誰もそこのサボテンに興味があるわけではなく、そのサボテン園から見える地中海の景色を見たくて登っているのです。この海と空の碧さ、そして南仏独特の屋根の色、そこにサボテンのグリーンが映え、まさに絶景です!植物園の入場は有料(4ユーロ)ですが、お金を払ってでも見る価値のあるステキな風景が待っているので、ぜひ入場して下さい。
村にはシャトーエザとラ・シェーヴル・ドールの2つの大きな5ッ星ホテルがあります。村にはあまり住んでいる人がいないので夜になると人影は少なくなり、エズに宿泊するととても静かな夜を過ごせます。こんな小さな村ですが、ミシュランの星を持つレストランもあって食に関しても満足出来ます。お値段はお隣のモナコ同様かなりお高いですが・・・。でも、私たちが歩く目の前をホテルのポーターさんが一人で村のふもと(車の進入がそこまでなので)から頂上近くのホテルまで、台車に乗せたスーツケースを5~6個、石畳の階段を引っ張って運んでいたのを見たら仕方ないとも思えます。
ともあれ南フランスへお出かけの際には、ぜひ足を伸ばして小さい街・村めぐりもお楽しみ下さい!