【119】りんご

 先日 青森に行きました。時期はまさしくりんごの季節、いたるところで 赤い実がなっている風景を目にしました。大事に手をかけられたりんごは、まるで赤い宝石のようでした。岩木山と一面のりんご畑の風景は、一番 青森らしい風景かもしれません。

 さて りんごというと必ず思い出すことがあります。1980年代の初めの頃 場所は中国山東省だったように思います。当時の中国旅行は、中国を理解するためにということで学校訪問、工場見学そして人民公社訪問がありました。ある 人民公社へ行った時のことです。事務所で説明を聞いたあとは、数名にわかれて農場を見て廻りました。いくつかのグループに分れるため、私も通訳をすることになりました。時期は、ちょうどりんごの季節、若いお嬢さんが一生懸命 りんごをつみとっています。可愛らしい赤いりんごです。
彼女からいろいろな説明を受けた後、その可愛らしい小さいりんごをみたお客様から、間引きをして大きくしないのですか?との質問がありました。間引きという中国語の単語を知らない私は、一生懸命間引きの意味を説明しました。すると 彼女は、不思議そうな顔をして私にたずねました。
「どうして、摘み取ってしまうのですか?沢山なれば、多くの人が食べられるのに。?!」
その質問でどんな説明より、当時の中国の農村の暮らしぶりがわかりました。そして皆に食べさせてあげたいという彼女の気持ちが伝わり、農村で暮らす大変さを思いました。

 あれから かなりの年月がたちました。中国も今では、赤くてりっぱなりんごが、町の果物屋さんに並べられています。あの質問をした彼女も大きくてりっぱなりんごを口にしているのだろうかと思います。

無料でご相談・お見積もり

TEL: 03-5411-7218
平日10:00~17:00