中国百科検定という資格試験があることをご存知ですか? 日本中国友好協会という非営利団体が事務局を担って昨年から実施されています。
(詳しくはhttp://www.jcfa-net.gr.jp/kentei/)
3~1級の資格取得をめざして、年1回の試験に挑みます。昨年3級を取得した私も今年は2級をめざして公式テキストと問題集を猛勉強。中国添乗中も手にしているほどでしたが、9月27日に試験を終え、なんとか取得できそうです(結果通知は10月)。
中国専業旅行社に10年以上おり、訪中50回ほどの体験を積み重ねていますが、まだまだ知らないことが多いことに気付かされます。歴史でも文化でも政治制度でも風習でも、料理や酒やお茶についても。
百科検定とは関係ありませんが、最近おもしろく感じていることは中国での店員さんへの呼びかけです。日本でレストランなどの店員さんを呼ぶ際には「おねえさん」とか「おにいいさん」、「おばちゃん」が多いでしょうか。たいていは「すみません」で通っているかもしれません。
私の大学時代の中国語テキストには「同志(トンジー)」とはっきり書いてありました。さすがに中華人民共和国では店員も中国共産党の「同志」なんだな~と感じ入ったものです。実際に中国に出かけるようになった1980年代の後半に、レストランで「同志」と呼んだら変な顔をされました。その当時でもすでに使わなくなっていたのでした。今日では「同志」は同性愛のパートナーを意味する言葉となっています。
代わりに「小姐(シャオジエ)」が一般的でした。日本風に言えば「ねえちゃん」「おねえさん」という語感でしょうか。冷えていないビールを頼むにも「小姐!」でした。
1992年から社会主義市場経済がかかげられるようになると、徐々にサービス業も拡大していき、資本主義的な害悪も広がりをみせ、「小姐」はその筋の「おねえさん」を指す言葉となっていきました。そうなると店員さんを「小姐」と呼ぶとにらまれたりするので、代わって「服務員(フーウーユエン)」が一般化しました。日本風におきかえれば「店員さん」でしょうか。レストランで冷たいビールを頼むにも「服務員!」です。
なんだか味気ないこの呼びかけに慣れていたのに、最近では「服務員」も死語となりつつあります。今では「美女(メイニュー)」です。店員さんがそうであっても、なくても「美女」と呼ばなければ来てくれません。「美女!」と呼べば、空港あたりでは生ビールも頼めます。
百科検定には出題されませんが、そんなところに時代の変遷を感じています。