凧を趣味とする友人から届いた年賀状には、連凧が青空を泳ぐ姿が写っていました。連なる凧のひとつひとつに音符が描かれていて、ぜんぶ並べるとメロディになるデザインでした。
訊いてみると、その凧はごみ袋をリサイクルして作ったものとのこと、凧に写した曲はディズニーの「星にねがいを」。
友人はその作品に環境配慮のメッセージを込めたといいます。ごみを資源として再生させることが当たり前な社会のすがたを願ったのでしょう。
ここ10数年、世界中のリゾートがかかえるごみ処理問題が話題になっています。
青いそら、碧いうみ、白い砂浜。日常生活を忘れさせる極楽ホテル。
夢のような休暇を過ごした観光客が去ったあとに残るもの、ごみの山。
それは小さなリゾート島の処理能力をはるかに超えた量のごみであり、昼夜を分かたず処理し続けても蓄積する一方である、とは、どの国どの島からも異口同音に聞こえてくる悲鳴です。
「古いTシャツや下着を捨てないでとって置き、旅行の際持参するんです。そして旅先で着用したあとホテルに捨ててくれば、スーツケースにお土産を入れるスペースもできて帰国後の洗濯も不要。一石二鳥です」
12年前、リゾート専門の旅行社に入社したての私は、“トラベルアドバイザー”の名札をかざし得意げにお客様へこんな案内をしていたのを思い出します。いま思えばなんと意識の低い恥ずかしいアドバイザー(?)だったろうと、赤面ものですが、当時は旅先の環境保全など考えも及ばなかったのが本音のところです。
アメリカのドゥワミッシュ族がこんなことばを子孫にのこしています。
「持ち帰ってよいのは記憶だけ 残してよいのは足跡だけ」
旅を愛する者として、心に留めておきたい名言です。