爽やかな5月も終わり、季節は夏へと近づいてきました。
様々な花を咲かせていた植物もいつのまにか、緑におおわれています。
こんな時期 いつも 私を楽しませてくれるのが、『未央柳』という木です。雨にぬれた緑の中に鮮やかな黄色い花がさいていたら、この花です。以前から 何という名前の花だろうと気になっていたのですが、その後『未央柳』と知りました。その説明には、中国渡来、 西安の未央宮にちなんでつけられたとありました。
未央宮といえば、前漢の高祖(劉邦)が紀元前に造営した宮殿です。その後 唐の時代にも造営されたといわれています。かつて 西安訪問の折、未央宮跡にたったことがあります。さぁ ここが未央宮跡ですと案内されてもまわりには小高い丘と黄色い大地が広がるばかりで、想像力に欠ける私としては、ぴんとこなかったことを覚えています。あの大地とこの花が、どう考えても結びつかず長年の私の小さな疑問となっていました。
央柳は中国名を金糸桃といい 今から 300年ほど前に中国から渡来したそうです。その当時の知識人が、唐の時代の玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋をうたった白楽天の長恨歌の一節
(安禄山の乱の後に、楊貴妃をなくした玄宗皇帝がかつて一緒にすごした未央宮をたずね美しい楊貴妃の思い出に浸る場面)
からつけられたとのことでした。美しい花と柳のような葉(実際には柳の葉よりかなり幅が広いですが)から楊貴妃を連想したのでしょうか?
ということで、長年の私の疑問も解決しました。我が家の庭の未央柳も小さなつぼみをつけはじめました。今年からは、雨にうたれた花をみては唐代のロマンに思いを馳せたいと思います。