新しい制服、スーツを身に纏った初々しい姿を目にする春になりました。ブータンでも春から学校が始まります。数年前までは4月が新学期でした。しかし建国記念日の12月17日が終業日であまりにも長い休暇となるため、今は春節とも呼ばれる旧暦のお正月が終わったら新学期が始まります。今年は2月25日がブータンでは旧正月でした。
各学校には制服があり、男女それぞれ民族衣装のゴとキラを着ています。小さな子供が着物に似た民族衣装を身に纏っている姿はとてもかわいらしくて、学校の登下校姿は外国人観光客にも人気があります。
少し前までは学校への入学時期の判断はそれぞれの家庭に任されていました。家計の事情や子供の成長に応じて、子供が学校へ入学できると判断したら、学校へ入学させていたのです。学校側の入学時期の審査は子供が両手を頭の後ろに回して繋げたら合格というものでした。頭の大きな幼児体型から子供体型に変わったらという判断だそうです。だからクラスの構成年齢はバラバラで、同じ教室に4歳の子もいれば、12歳の子もいるという状況でした。私の夫の姉は4歳の時に5歳上の従姉妹と一緒に入学したそうです。その頃は学校が遠い子供が多くて、姉も学校の寮に入っていたそうです。従姉妹が教室でも寮でもお世話をしてくれたそうです。現在は一応入学時期は7歳以上と決まっています。と言っても、私立学校には7歳以下の子供で入学ができ、公立学校に編入する際には私立学校で勉強を終えたクラスは免除されるので、まだクラスの構成年齢には多少バラ付きがあります。
いろいろな年齢で学校には入学できますが、勉学に対する姿勢は日本よりも厳しく、小学校の1年生でも進級試験があり落第もあります。私の夫の兄弟もみな落第経験があります。親戚の家族では2歳ずつ離れた3人兄弟の長男は次男に学年を抜かれ、一番下の妹と同じ学年になってしまいました。彼は妹と同じ学年になった時にはさすがに恥ずかしかったのか、少し家出騒動を起こしていました。しかし入学時にも年齢にバラ付きがあるのもあり、子供も周りの大人も落第してもおおらかです。
日本の中学校と高校の卒業時に当たる年に全国一斉の統一試験があります。高校は随分と増えたのですが、大学は国内には公立が1校、今年開設予定の私立が1校だけです。統一試験でよい成績を収めなければ上級学校に進学できません。就学率が伸びてくるとともに農業離れが起きてきているのも事実です。農業以外に産業が少なく就職先の選択肢が少ないため、職業としては公務員の人気がありますが、最近は大変な競争率です。そのため子供にとっても家族にとっても進学や就職が悩みの種となっていて、少し教育熱心過ぎる世の中になっているように感じます。かわいい新入学生達が卒業する頃にはどのようになっているのでしょう?