ブータンは沖縄と同じぐらいの緯度に位置しますが四季はあります。それぞれの季節の訪れる時期は東北地方と似ています。ヒマラヤ山脈の麓の国のため、冬は雪が積もる印象を持っている方もいますが、首都を始め人が多く住んでいる地域には雪はあまり降りません。冬の時期は乾季のため殆ど雨も降らず、日差しが強いので日中は日の当る所は割と暖かいです。しかし高地のため朝晩の冷え込みは厳しく暖房は欠かせません。
以前は殆どの家が薪ストーブで暖をとっていましたが、ここ近年は首都では灯油ストーブや電気ストーブの家が増えています。近代化が進んでいるということだけでなく、薪が手に入りにくいためです。ブータンでは政府が自然環境を守るために木の伐採を制限しています。とは言っても、灯油ストーブにした家でも薪ストーブの方が良くて、何とか薪を手に入れて使っている家が多くあります。薪が手に入ればと思い、薪ストーブを捨てない家も多いようです。
我が家では今年は11月の中旬までは灯油ストーブを使っていたのですが、薪にする木を手に入れることができたので薪ストーブにしました。1トントラックで木を運んできて、薪割りをして家の軒下に積み上げ冬支度は完了。
薪ストーブの場合は灯油や電気の場合と違い、時々薪をくべなければなりません。面倒な面もありますが、木のくべかたによっては他の暖房よりも暖かいですし、そして何ともやわらかい暖かさが感じられます。私は家族みんなで薪ストーブを囲んでの生活が気に入っています。
薪ストーブはリビング兼台所の部屋に置いてあります。薪ストーブを囲んで家族揃ってごはんを食べます。食事の時間以外も他の部屋は寒いため、家族がその部屋に集まっています。猫はいつも薪ストーブの下や周りを陣取ってゴロゴロしています。薪ストーブの上にはいつも大きなお鍋を置いてお湯を沸かしています。子供達は薪ストーブの近くに大きなたらいを持ってきて、暖かい薪ストーブの側でお風呂に入ります。薪ストーブは部屋を暖めるだけでなく、心も暖めてくれます。
ブータンでもここ近年は少しずつ便利を求める生活スタイルに変わってきています。個人主義的になり家族の団欒の時間も減ってきているように感じます。自然環境を守りつつ、こんなひとときも大切にしていけたら良いなと思います。