【101】仏さまの出張(両国 回向院)

 今年のゴールデンウィークは真ん中に3日間の平日をはさむ飛び石連休のため、海外旅行の申し込みが例年より少なかったといいます。反面、アベノミクス効果を受け、家でじんわりするよりは景気よく外に出たい人が多く、全国の観光地や行楽地はひときわ賑わいをよびそうです。(これを書いているのは前半が終わった30日です)

 私は休みの前半に、国技館で知られる両国へ行ってきました。目的は駅近くの回向院(えこういん)で催されている信州善光寺の「出開帳(でがいちょう)」。出開帳とは、普段遠くて参拝できない人(この場合は江戸町民)のために、仏様が出張してきてご縁を結んでくださるありがたいイベントです。

 信州善光寺は7年に一度、御本尊の一光三尊阿弥陀如来様(いっこうさんぞんあみだにょらい)を開帳しています。…正確には、この御本尊様は絶対秘仏のため、御本尊によく似せた御前立仏(おまえだちぼとけ/私はスタントマンとよんでいます)を開帳するのです。そのスタントマンでさえ、7年に一度しか拝することができない貴重な仏様。今回はこの御前立様が7年ごとご開帳のきまりをやぶって特別にみえるのかと思いきや、善光寺にはその他に出張専門の「出開帳仏」という影武者が存在するらしい。その影武者が両国にやってくるというのです。

 ここで両国回向院の由緒を少しお話しすると…両国回向院は、江戸時代「振袖火事」とよばれた明暦の大火で亡くなり身寄りのわからなくなってしまったたくさんの魂を守ることから始まり、いまでも天災等による多くの無縁仏を受け入れる寺です。自然のなりゆきにまかせていれば縁者のない仏は捨て置かれ、寺は破れてしまう。その防止からでしょうか、江戸時代からこの寺は全国の秘仏・秘像が出張公開される「出開帳の寺」として多くの人を集め、魂がさびしくないような工夫を凝らしてきたのです。

 信州善光寺の出開帳は、江戸時代にはたいへん人気を博し、60日間で1,600万人を超える参拝者を数えたといいます。それが自然に廃れ戦争の時代を経て今年、実に73年ぶりに開催されるのです。善光寺の出張専門影武者さんは73年ぶりの大発展した東京におどろくでしょうか。いえそれよりも、暖かい陽の光を久方ぶりに浴びて生気を取り戻していらっしゃることでしょう。

ところで、なぜ73年も廃れていたイベントがいま?…それは、空前の大災害・東日本大震災で亡くなった方の魂をなぐさめ、東北の復興を支援するという大きな目的があるからです。

 出開帳は今月19日まで開催しています。拝観料は東北に寄付されるそうです。GW後半の予定を考え中の方は、ぜひこの稀有なイベントにお運びください。

 参拝の際は、多くの人出を楽しみに待っている無縁の仏様に手を合わせることもお忘れなく。

仏さまの出張(両国 回向院)

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