【152】承徳をご存知?

 北京の北東250kmに位置する河北省の都市・承徳をご存知の方は少なくないと思いますが、実際に訪れたことがある方はあまり多くないのではないでしょうか。

 私も中国訪問歴32年で初めて訪ねる機会に恵まれました。

 北京から陸路で向かうには北京市と河北省の境を通過することになりますが、その境こそ異民族の侵入を防ぐ世界遺産・万里の長城なのです。金山嶺とか司馬台とか古北口などと命名されているこの地域の長城は、有名な八達嶺ほど現代的修復が進んでいないところもあり、交通不便な分だけ観光客が少なく、長城の古式(といっても明代ですが)をよく残していると言われます。

 その長城を抜けて承徳には、清代の皇族がしばしば避暑に訪れました。1703年には康熙帝は造営した熱河避暑山荘で夏季の政務を執り、以後清の副都のような存在になっていきます。1723年には雍正帝により熱河庁が設置、1733年には承徳直隷州と改称されました。乾隆帝の1778年以降は承徳府とされました。清末のアロー号戦争ではイギリス・フランス連合軍に北京を占領されたために北京を脱出した咸豊帝が逃亡先であった熱河避暑山荘で急逝しています。

 その「避暑山荘」は今日、世界遺産として公開され、多くの観光客を迎え入れています。皇帝の執務や儀式、生活が行われた宮殿では清朝官窯の磁器や西太后ゆかりの品々なども展示されており、素朴で野趣あふれる佇まいが特徴で、山水の自然な姿を活かしている広大な庭園とともに、ゆっくりと巡ります。

 承徳にはもうひとつ世界遺産があります。山荘の東と北を取り巻くように並ぶ寺廟群で、「外八廟」と総称されています。1713年から1780年にかけて建立され、主に清朝が尊重したチベット仏教の寺院です。チベットのラサに聳えるポタラ宮に比して、小ポタラ宮と呼ばれる普陀宗乗之廟や高さ22m余りと世界で一番背の高い木彫の仏像がある普寧寺大乗之閣など色彩豊かです。普寧寺を訪れた際には、吉祥月の振る舞いとのことで、炊きたて雑穀ご飯をいただきました。外八廟はそれぞれに個性的で華麗な建物が林立していて、その姿は避暑山荘の重厚素朴な味わいとは対照的です。

 中国の歴史都市では、四千年の歴史が重層的に積み重なり、三国や唐代、宋代、元代、明清代のそれぞれの史跡が残り、中国の歴史と総花的に出会うことが多いのですが、承徳ではほぼ清代に集中していますので、見学しやすい印象です。北京からの日帰りも可能ですが、じっくり宿泊して、地方風味豊かな食事や地酒も味わいたいものです。ぜひ個人旅行でも小グル-プでも出かけてみてください。

外八廟・普寧寺
外八廟・普陀宗乗之廟

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